善光寺表参道・中央通り沿いのお茶屋さん「蔦の園」(つたのえん)が、10月末で閉店しました。場所は問御所町ですが、新田町交差点の昭和通りより南側の中央通り沿いに、これほど立派な伝統的な蔵づくりの町屋の建物は、他にもうありません。
『長野銀座 いま・むかし』(2000年発行)によると、蔦の園は、
「明治25年、初代文治郎が市内横町に茶の卸小売業を開店。昭和5年、現住所の問御所町に新築本店として開店しました」とあります。
今の建物は、やはり昭和初期の建築なのでしょう。奥にも立派な蔵が見えます。これから蔦の園の建物がどうなるかは、まだうかがっていません。
すぐ近くには、「山喜園本舗 戸谷茶店」(お店の方によると、昭和60年に建て替えたとのこと)もあります。長野のまちは、お茶屋さんが本当に多いです。それだけ茶の湯が盛んだったこともわかります。
(小林竜太郎)
長野市内には、現在、銭湯が8軒残っています。
亀の湯(諏訪町)、アルプス温泉(新田町)、東[あずま]の湯(柳町)、初の湯(吉田)、滝の湯(吉田)、真珠の湯(東和田)、田川の湯(稲葉)、梅の湯(松代)です。
長野市の銭湯について調べるには、ナノグラフィカが発行した『街並み』の銭湯特集(2008年4月発行)が、欠かすことのできない資料です。もうあれから9年になるのですね。
2008年4月当時は10軒あった市内の銭湯も、丸十温泉(篠ノ井)が2008年7月に、児玉乃湯(松代)が2011年2月に営業を終え、現在の8軒になりました。
『街並み』では、当時高井綾子さんが10軒で実際に入湯し、よく取材されていて素晴らしいですが、1か所だけ、東の湯だけ開湯の時期が書かれていませんでした。
先日、東の湯でお聞きすることができました。
創業はよくわからないが、70~80年前だと亡くなった先代から聞いているとのことでした。ということは、1937~47年(昭和12年~22年)頃ということです。いずれにせよ昭和20年代半ばには確実に営業していたということでしょう。歴史ある銭湯です。
銭湯「東の湯」(あずまの湯) 長野市柳町64 旅館併設
営業時間 午後3時~8時頃(かつては11時まででしたが、8時頃に閉めるそうです)
火曜日・土曜日定休(外の掲示には土曜日とだけ書かれています) 臨時休業あり
善光寺門前界わいからは、自転車で東へ10分程。柳町通りより南側です。
門前と言えば亀の湯、アルプス温泉ですが、ここも門前界わいから比較的近い銭湯です。
長野駅と善光寺の中間地点に、十念寺というお寺があります。
正式には、紫雲山頼朝院十念寺(しうんざん らいちょういん じゅうねんじ)と言います。
このお寺はその名「頼朝」から想像がつくように、源頼朝(みなもとのよりとも)が開いたと伝えられるお寺です。「紫雲」とは、善光寺参りに訪れた源頼朝一行に、紫の雲に乗って、西の旭山の方から阿弥陀様が姿を現したということ。阿弥陀様は、頼朝一行に十念を授けました。十念とは、「なみあみだぶつ」を十回唱えることで、善光寺でもお朝事に参加すれば、参拝者が一緒に唱えます。
その十念寺の境内には、立派な大仏堂があります。中には金色に輝く大仏様が安置されています。1799年、正道(しょうどう)上人によって建立されました。1995年に修理が行われたので新しく見えますが、200年以上昔からの大仏です。「出世大仏」と呼ばれます。
その出世大仏で、この4月1日から、毎朝、朝の「おつとめ」が始まりました。7時30分から、どなたでも参加できます。
門前町のお寺で、法要に参加して、すがすがしく1日を始めてみるのはいかがでしょうか。(小林竜太郎)
116 さよなら、桜坂・七曲り経由の路線バスにも書きましたが、2016年12月16日をもって、善光寺北側の桜坂を通るバスが廃止されました。
桜坂の登り口には、その名のとおり「桜坂」というバス停がありました。とても素敵な名前のバス停ですよね。
バスが通らなくなってからも、まだバス停は残されていました。
(写真は、2017年2月4日撮影)
手書きの消えかけた「桜坂」の文字が年代を感じさせ、味わい深いです。
やがて、このバス停も撤去されてしまうのでしょう。でも、いつまでも覚えていたい気持ちにさせてくれるバス停です。
今年(2017年)は、1月としては、11年ぶりの大雪になった長野市街地です。
写真は、バスの車内から写した、善光寺表参道・中央通りの問御所町交差点付近です(1月22日撮影)。奥が善光寺です。うず高く積まれた雪が、長野の冬らしい風景です。
でも、今回はお店にもご注目ください。
右側に、元・メガネのいとう中央店、趣味の民芸ふじわら(信州煙火工業)、元・ペットサービス深井などのお店が見えます。
メガネのいとう中央店は、昨年10月31日で閉店しました。横から見ると蔵づくりの建物が今後どうなるかは、まだわかりません。
趣味の民芸ふじわら、元・ペットサービス深井の建物は、寿町通りを長野大通りまでつなげる「県庁緑町線」の延伸工事に伴い、取り壊されることになっています。
当たり前だったこの風景が見られるのも、もしかしたら今年で最後になるのかもしれませんね。
(小林竜太郎)